〜夢の続きを〜EINS:VIERと死生観
東広島のお墓やさん、有限会社やまにしです^_^
お墓やさんなのに、たまに音楽ネタがぶっこまれますが、今日もその内容ですよ
とはいえ、お墓にまつわる死生観にとってトピックになる内容でもあるので、ご興味のある方はぜひ最後までご覧くださいね。
さて今回題材に挙げるのは、
EINS:VIER というロックバンドです。
こちらは、わたしが青春を共にしたと言っても過言ではないグループで、高校一年のときからですかね。ともかく自分の血肉になってるくらいの音楽です。
しかしながらその世間的認知はけっこうマニアックなレベルで、知る人ぞ知る的なグループだと思います。
これまでは自分のマニアックな部分はあまり見せずにいましたが、最近は心境の変化もあり好きなものを好きと 胸を張って言える自分でいたいと考え始めました。
ですので今回は内容濃いめ。おすすめの曲目を並べて、思う存分やりたいと思います。
おすすめ曲レビュー!
Not saved yet
↑tap!
我が人生で、間違いなくトップでリピート回数の多い曲です。最大級の敬愛を込めて!
いくつかのバージョンが存在しますが、こちらが至高かと思います。
もうイントロから最高!地の奥底から湧き上がって、遠い地平へ突き抜けていくかのようなギターに、まるで身体が浄化されていくかのよう。なんならイントロだけしばらくリピしてるくらい笑
全編にわたりポジティブな高揚感に包まれる一方、サビでは「未だぼく、救われず」と繰り返される。その歌詞だけみるとなんてネガティブなんだと思われるかもしれませんが、たぶんEINS:VIERのコアなファンの方ならば、これは文字通りのネガティブではないと感じているはずです。
前に進めることは、せつないことでもある。
押さえきれないほどのポジティブエネルギーを発散させるかたわらで、言葉でのネガティブを対比させることで、よりそれがリアルに感じられます。
ここの歌詞が仮に、「ぼくは今、救われた」とかですと、うーん、、、、
ゴスペルで有名な、
「Oh Happy day」みたいな感じになっちゃいますね
全編に歌詞と曲のマッチングが最高なんですが、最初のサビ前の歌詞、
「ただただ、鬼門はいつ閉じられるの?とだけ」 いやーカッコいい!
hirofumiさんのボーカルの良さが炸裂してますね。このバージョンのみ、ラストのハミングまで奢られます笑
Push Baby
↑tap!
インディーズ期のフルアルバム、「RISK」の2曲目を飾るナンバー。2番バッターはDHのオオタニサンですよ!!
パッと聞いた感じ、そこまでフックがあるという印象はなかったけど、繰り返し聞いていくうちにどハマりしました。
なんというか、たいへん大人なポップソングだと思います。密やかで儚く、でも瑞々しい想いが心の奥底に今でも存在している。
まるで心臓の鼓動のようなベースと、軽やかなドラム。そしてシンプルでありながら、ほかのどこでも聞いたことがないようなクリーントーンのギターリフがイントロから披露されます。
ギターソロなんて、こんなにシンプルなフレーズながら一音一音が丁寧に、生命の息吹を与えるかように弾かれていて、本当に愛おしみながらこの音が鳴らされていることを感じて感動してしまいます。
一見難解な歌詞ですが、もやもやと心の中でうごめく、言葉にできない儚さ、焦り、それを解放させたい無垢で残酷な欲求を連想させますね。
そしてさらにこの曲のすごいところは、ラストサビの2回目リフレインです。
オブリでギターが入るのですが、これはヘッドホン推奨!なんとなく聞いていても、ギターの録音定位が遠い位置にあるので気づきにくいです。
この短い小節の中に、なんと濃密なドラマがあることか!
・空を飛翔する光のエネルギー
・黒い雲の向こうで、抑えきれないイカヅチのような力が迸りはじめる
・黒い雲を突き抜けて、一筋の光の矢が降りてくる!
・そしてその光の剣は雲を切り裂き、眩いばかりの世界へと
この至高なるギターに寄り添われて、ボーカルほか全てのパートのボルテージがここで最高潮に達します。
す、す、、、す、、、素晴らし過ぎる。
正直、聞く度にここで涙が出てしまいます。
あまりに素晴らし過ぎて。
この後のキャリアでも、こういった演奏はあまり見られません。泣
穏やかなイントロから始まり、このラストへ向けて進んでいく。そこに約束のカタルシスがあるから、何度も聞いてしまう!
ライブで聞いてみたい、、、、演ってくれないかな、、、?
after
↑tap!
儚い勇気と希望の歌。わたしにとって希望の歌とはこれです。
メジャー移籍後EINS:VIERの、ひとつの到達点のような曲。ここまでポジティブなエネルギーが炸裂した曲って他にあります??笑
ただポジティブなだけの曲は、ほかにも世にたくさんあるでしょう。
でもこの歌は、儚さや弱さ、勇気を出すことの愛おしさが胸を打つんです。
歌詞の素晴らしさといったらもう!
「希望の歌を今から作ろう 涙はこらえて」
のところで、逆にこらえきれず涙が溢れるんだよ!コンチクショー!笑
6分超える長尺の曲ですが、ラストの着地も素晴らしい。
「悲しみの後にはこれからの物語 」
と繰り返し、胸にそっと手を置くような声で。
そしてギター、ベース、ドラムの楽器陣の立ち位置がにくい。もはや演説に近いボーカルを最大限クリアに届けるため、小細工を捨てて、あたたかく、かつ力強いグルーヴの構築に徹しているのですが、そもそも彼らの音はこの曲に限らずとてもあたたかい。
いや、あたたかいというよりも”体温を感じる”というイメージでしょうか。
オシャレな音、化粧っけのある音ではないんですよ。でも人間の内なる体温を信じている、そんな音だと感じています。
そしてまたこの曲のギター!あたたかく、まっすぐで、ひたむきで。小細工も無理な押し出しもせず。でもなんて良い音色なのだろう。 内側から滲み出るエネルギーが耳にやさしく届いてくる。
よく上手いギタリストはギターソロでフロントピックアップに変えて、あたたかく伸びやかな音を聞かせる、とかあるのですけど、そういうのとは違うんですよ。 どう?この音、カッコいいでしょ?みたいな表現ではなくて、本人が一音一音を心から慈しみながら演奏しているようで。そこに感じるのは技巧よりもやはり体温なんですよ。
ながくファンでいると、このyoshituguさんのギターについて同じような固定ファンがいるようで嬉しいです。 このギターだからこそ、この歌が成立しているといって過言ではないと思います。
言葉に表現するのは難しいのですが、TMNの宇都宮隆さんの歌声のようなギターだと感じています。
またこのyoshituguさん、ライブで拝見すると、もう仰け反るくらいカッコいいです。音源からはあまり想像できないほどに。ながーい足を大きく開いて躍動的にギターを弾く姿は、もうギターヒーローのそれです。ライブ演奏の安定感も抜群!また独特の”間”というかタイム感があり、聞き慣れているファンからすると、少し聞いたらyoshituguさんの音だと気づくくらい、個性を持つ存在と思います。
学生時代、髪型を真似したなあ笑
In your dream
↑tap!
わたしにとって、未だこの曲の歌い出しを超える歌詞はありません。そしてこれからもないと思います。
「夢の続きを今から始めよう あなたは綺麗なドレスをまとって 僕はあとから逃げる影を追う そして気付かぬうちに深い森の中へと」
この歌い出しの歌詞に、当時高校生だった自分は射抜かれました笑
ロックバンドってすてきだな。素晴らしい歌詞とは、こんなにも感動があるものなんだなと。
その後、は、自分はまんまとバンド少年になっていくわけでした。間違いなく自分の趣味嗜好の分岐点となった一曲ですね。
この曲は、EINS:VIERの代表曲のひとつですから、何度も再録されて様々なバージョンがあります。
とくに違いがあるのはサビの歌い終わり、
「僕はあなたと死にたい」という部分があるのですが、
初期は、
「僕はあなたと死にたい⤵︎」 で、
後期は、
「僕はあなたと死にたい⤴︎」 なんですよ。
や、音程の話なんですけどね。
これは、個人的には初期が絶対に良い!
この曲の詩世界、その儚いストーリーにおいては、まさに夢から覚めるのを恐れるように、つぶやくように、「僕はあなたと死にたい⤵︎」がもうぶっちぎりで最高なんです。
ライブバージョンとしての、
「僕はあなたと死にたい⤴︎」は、確かにカタルシスがあるのでわかるんですけどね。
他にもたくさんのおすすめ曲
他にもいっぱい、いい曲あります。
ざっとみてみましょ
・notice (to the flat バージョン)
↑tap!
→イギリスで録音されたであろうこのテイクは、EINS:VIERの歴代曲の中でも最もカッコいいと思います。ガレージロック感?妙な生々しさがあり、それが声や曲調と完全マッチしてます。癖が強く好みが分かれるといわれがちなhirohumiさんのボーカルですが、こんなにカッコいいことを見せてやりたい! サビの「愛が!」のところの爆発的かつ濃密なパワーたるや、、、、!
↑tap!
→どのバンドにも、そのバンドでしか生まれないであろう曲がありますが、こちらもそのひとつ。他では全く聞くことがない独特のものがあります。どこかファニーでありながら、淡々と進んでいく構成の中でボルテージが上がっていく。そして何やら麻薬的なトリップ感がある。叩きつけるような歪みギターではなく、ディレイを駆使した浮遊感のあるギター。伸びやかで突き抜けるボーカルと、見どころ満載!
・I feel that she will come(1:03:27 WALKのバージョン)
↑tap!
こちらも代表曲のひとつですので、いくつかのテイクが存在しますが、メジャーファーストアルバムのWALKに入っているこちらが好み。まずほかと違うのは少し速めのテンポで、これがたいへん小気味よく、この曲の多幸感を彩っている。そこで鳴らされる、美しく生命の歓びに満ち溢れたギター。もう天上界の音かよ!!そしてこの愛の歌にふさわしいボーカルの完成度!まっすぐでひたむきで、迷いのないエネルギーに、撃ち抜かれます。
アルバムトピック!
RISK
インディーズ期のフルアルバム。どうやら、セルフプロデュースの作品?らしいです。それゆえにか録音全体の定位が独特で、ドラムとベースはかなり手前に。ボーカルはその向こう、ギターはさらにその向こう、みたいな感じに聞こえます。
そしてこの時期はどことなく中世ヨーロッパの歌劇調な楽曲の雰囲気とボーカルスタンスがあり、それに伴ってこのアルバムは非常に異世界(転生?)感のあるムードで仕上がっています。
異世界、あるいは夢の中で響いているかのような音は、代表曲In your dream の詩世界においてもマッチしているともいえますね。
WALK
メジャーファーストアルバム。わたしがアルバムとして一枚だけ無人島にもっていくならコレ。という作品です。
エネルギー、モチベーション、タイミング、積み重ねたファンとの時間と織り重ねられた楽曲たち。全てのバイオリズムにおけるピークがここに重なったかのような、奇跡の作品だと思います。
そして特筆すべきは、アルバム全体が薄いヴェールで包まれているかのような、なんとも耳に優しく心地よい音像です。激しい曲も、やわらかい曲も、このアルバムでは等しく耳に優しい。
古い書物のようなジャケット、パッケージも相まって、まるで日焼けしてホコリを被った大切な古書を、ワクワクしながら紐解くかのような体験がそこにあります。1曲目のNot saved yetから、最後のI feel that she will come に至るまで、ひとつの物語を読んでいるような感覚で、読み(聞き)終えたあとには寂しさすら孕んだ余韻があります。
またキャリアの中でこの時期、ボーカルのhirohumiさんは声質を大きく変化させており、それまでの棘というか毒のような攻撃性の殻を破り、本来の生命の光というか、まっすぐでひたむきなあたたかさを感じるようになりました。
(例えるならば仮面ライダーアギトの、バーニングフォームからシャイニングフォームへの変身みたいな感じ わかるかな?)
このアルバムではそれが迷いなく澱みなく、ストレートに届いてきます。 これ以後の作品では、迷い、焦り、恐れ、怒りみたいな側面が比重を増やしていく印象があるので、いかにこのタイミングがここだけのものであったかと思うのです。
またメジャー移籍に合わせて、おそらくそれまで半音下げだったチューニングがレギュラーチューニングに変わっており、それゆえに演奏のハリというか、テンションが高くなっていることもありますね。
いやー、しかし名盤やでこれ。アルバム通して聴けるし、代表曲”Dear Song”もこのアルバムテイクが最高。”街の灯”、”L.E.S.S.O.N”。 どれも素晴らしすぎる。
詩世界と死生観
さて思う存分語りましたが、このへんでいい供養研究所的な考察に入りたいと思います。
例えば以前紹介させていただいたBUCK-TICKなどは、わりと直接的な”死”から逆算したような死生観、いわば生命讃歌の詩世界だと思います。
メメントモリ、カルペディエム、みたいな目線ですね。
対してEINS:VIERの詩世界においては、”死”に意味を与えるというより、死は死のままに。ただ愚直に”生きること”について熱弁されているイメージです。EINS:VIERは、シングルのB面的な立ち位置の曲に、その役割が多いようです。
ざっと挙げますと、、、
In a void space
Stranger said to me like this
Staying and Walking
Liquid Blue Sky
記憶の陰
とかでしょう。
そして改めてキャリアを振り返ってみると、
この中でも
In a void space
Stranger said to me like this
この二曲が異質だと思います。
“死”を、恐怖の対象としても、希望としても捉えてはいない。
必ずそこに辿り着くもの、それは圧倒的で、我々の心象風景などお構いなく、全てを包み込むもの。
または、この世がまるでゲームのスイッチを入れたり切ったりするかのように、簡単に行われているかもしれないという観念。
けっこう難解です。とゆーか、
それは、自分たち生者の認識や理解を超えた世界ということなのかもしれない。
みんな、なんとか理解したいんです。死後のことも。ああだったらいいな、こうだったらいやだな、
天国とか、地獄とかさえ、生者の作った観念ですものね。
hirohumiさんは、そのことについて変に決めつけたり理屈づけようとせず、わからないものはわからないままに、尊い存在として敬意を払いながら表現されているように思えてなりません。
その結果として、”如何に生きるか”ということにフォーカスした曲をたくさん生んでいくことになったのかな?と。
その到達点のような曲はこちらかなと思います。これぞ、EINS:VIER。
↑↑tap!!
希望の歌、after と対をなす、力強い応援歌。
今回はここまで!