石屋としてのマイルストーン

有限会社やまにし いい供養研究所です^_^

今回は、これについてお話したいなと思います。

石彫刻、弥勒菩薩。

 

この石像との出会いは、もはや15年以上?前かと。岡崎ストーンフェアに出展されていたもので、作家さんは岡崎の倉田さん。(業界人であれば、倉田さんの凄さはもう語るまでもないでしょう!) 。

 

岡崎ストーンフェアに訪れたとき、もう一目で惹きつけられまして。でもそこで買うまでの勇気がなく、その場ではスルーしておりました。

 

しかしその後もずっと、この石像のことが忘れられずに「やっぱ買っとくべきだったよなあ」なんて後悔を滲ませていたんです。

 

そうこうして数年がたち、たまたま仕事の用事で岡崎を訪れたときに、なかなか来れないのだから倉田さんにも会いたいと思い、アテンドしてくださった石材新聞様に我儘放題(笑)頼みこんで連れていってもらいました。

 

そうして倉田さんの工房を訪れて、

事務所に案内していただいたときに、まあビックリ。あのときの弥勒菩薩がそこに鎮座しているではありませんか。 

 

息を飲むとはこのことです!

 

聞けば、倉田さん自身もこれの出来が気に入ってしまい売るのが惜しくなったそうで、事務所に隠していたんだそうです笑

 

しかしこうなるともう、僕も腹を決めまして。

倉田さんに、なんとかこれを買わせていただけないかと頼みこんで、しぶしぶ嫁入りしてもらえたというストーリーがありました^_^

 

弥勒菩薩のモチーフはだいたいはこの構図です。この作品の前にも後にも、いくつか同じモチーフの石彫品に出会ったことがありますが、正直なところ僕にとってはこの倉田さんの作品こそがもう究極で、きっとこんなに気にいる石像に出会えることは金輪際ないのではとさえ思っています。 

 

ほんとうに、まるで生きて呼吸しているかのような質感と石肌。この世の喧騒や時空を超えたところから俯瞰しているかのような存在。

 

弥勒菩薩自体が、とてもミステリアスなヒーローの側面があると感じていますが(何億年?も先にこの世を救済すると約束された存在)、そんな超越感が体現されていると思います。

 

と、小難しい言葉を並べてみても実際のところ、言葉なんて陳腐だと思わされるものです。

 

ひとつ言えることは、他人がどれほどこの作品を否定することがあったとしても、僕は意にも介さず、この作品を好きで居続けるだろうなということです。 

 

我が人生において、ここまで思わされるものはそういくつもありません。

純粋な心根の部分からそう感じます。 

 

僕も石屋の生まれで、これまで石屋を生業としてきましたが、この作品との出会いは間違いなくひとつのマイルストーンでありました。 

 

幸せな出会いです。

こればかりは、まだ生きている自分に対する供養のような気すらしております。