アグアドとジョンウィリアムズとアランフェス

お墓をアップデート!(有)やまにしです。

 

前回に引き続き、叔父の形見編を。

前回はアンドレアスセゴビアの演奏について、

「魔法にかかったような」と表現した。

 

今一度補足すると、その魔法は遠くの異世界へ連れて行ってくれる魔法ではない。

まるで、おじいちゃんが目の前で演奏して聞かせてくれているかのような郷愁の魔法だ。

まだ見ぬ外側ではなく、内側への旅。

それはお墓の価値とも繋がる?と強引に紐付けしてみる。

 

それはさておき今回は、ジョンウィリアムズについて。確か彼はセゴビアに師事されたひとり。映画音楽などで名を馳せている同名の方とは別人であるが、クラシックギター界においては知らない人がいないほどの知名度と功績を誇ると思う。 

 

私の感覚からすると、

クラシックギターの演奏とはその演者の出自風土からみる心象風景が色濃く反映されるものだと感じているが、このジョンウィリアムズはオーストラリア出身、イギリスが主たる生活地とのことで、やはり他のラテン系ギタリストとは違った世界観だ。それがある種特異で、カッコよかった。

 

そしてサムネイルの写真は、叔父の形見から出てきた、アランフェス協奏曲。ジョンウィリアムズの演奏によるものだ。

ジョンウィリアムズは、そのキャリアの中で何度もアランフェスを演奏録音している。中にはCDなどのメディアで今でも買えるものがあるのだけれど、個人的にはこのレコードに収録された演奏こそが至高であり、まさに自分史上最強最高のアランフェスなのだ。

よってこの一枚の発見は自分にはとても大きな出来事であり、この一枚は宝となった。

 

ソースは不確かなのだが、

この演奏時点ではジョンウィリアムズは、アグアドというギターを使用していたと聞いている。

まず、このギターの音!

切れ味鋭いジャリーン!という感触でありながら、短音の余韻や表情も充分ある。

アランフェス第1幕のイントロで、もうテンションぶち上がりなのはいうまでもない。

そのギターの音と、ジョンウィリアムズの心象風景がもうこれ以上ないほどにマッチングして、まあカッコいいのなんのって、、、、。

 

他のスパニッシュギターのアランフェスが、真っ赤なドレスで汗をまき散らし踊り狂う女優だとするならば、こちらはまるで汗ひとつかかずにタキシードのまま情熱を漂わせる紳士のようだ。

 

子供の頃から惚れ込んでいたものが、その元となるレコードが今こうして目の前にある。感慨深いものだ。